2004年アテネオリンピック優勝者のマラソントレーニングを分析し、自分のトレーニングと比較をしそこからヒントを得たこと
- 榮井悠祐

- 10月20日
- 読了時間: 15分
こんにちは!
ウェルビーイング株式会社 榮井です。
今回は、私がある一流ランナーの3か月のマラソントレーニングを分析し学んだことをこのブログでお伝えできたらと思います。
ある一流ランナーとは、2004年アテネオリンピックを2時間26分20秒で優勝された野口みずきさんのことです。
アテネオリンピックは8月に開催され30度を超える酷暑の中のレースでありました。そこで2時間26分そして何より優勝されているのが凄いとしか言いようがありません。
また翌年の2005年ベルリンマラソンでは、2時間19分12秒の大会新記録を更新し優勝。さらにこの記録は日本新記録でした。
この記録は2024年1月の大阪国際女子マラソンで、前田穂南選手が2時間18分59秒を記録するまで19年間破られることはありませんでした。
なぜ私は、野口みずきさんのマラソントレーニングを分析しようと思ったのか。
それは、女子の日本記録を超えるタイムでいつかマラソンを走りたいという夢が私にはあるからです。
つまり、野口さんの練習メニューをいつかこなせるようになれば、2時間19分で走れる。(現在は2時間18分ですが。)
幸運なことに野口みずきさんの練習メニューは、書籍として出版されており誰もが見ることができます。ランナーの皆様もお持ちの方が多いのではないでしょうか。
野口みずき著(2022)『金メダリストのマラソントレーニング 野口みずきの練習日誌』ベースボールマガジン社。
では実際に野口さんの練習日誌を見ていきましょう。
まず野口さんのトレーニングは、①一般性から特異性へ徐々に移行していく内容となっております。そして、②一つ一つの練習内容だけ見ると、決して絶対にできないようなキツすぎる練習がございません。
① 一般性から特異性へ徐々に移行していくとは
一般性と特異性についてご説明させていただきます。
一般性とは、基礎練習と言い換えても良いと思います。マラソンで例にとれば、400m×20本とか、1000m×10本といったスピード練習や、30kmをレースペースの80%で行うような練習のことを言います。土台作りや基礎体力づくりのイメージです。
特異性とは実戦的練習とも言い換えることが出来、練習でどれだけレースに近い練習をやるのかということです。マラソンで例にとれば、ハーフマラソンのタイムトライアルや40kmをレースペースの90%で行うような練習のことを言います。つまり、マラソンレースに近い負荷の練習です。
② 一つ一つの練習内容だけ見ると、決して絶対にできないようなキツすぎる練習がない。
【距離走】
野口さんの距離走ですが、レースペースの90%で走る40km走はレース4週間前(レース32日前)からです。ここで90%という例が出てきましたのでご説明させていただきます。
現在のマラソンレースペースを100%としてください。決して、目標レースペースではありません。
野口さんが2004年アテネマラソンで優勝される前のマラソンレースタイムは、2003年2時間21分18秒(大阪国際女子マラソン優勝)です。
1km平均ペースは3’21/kmです。
まずはこれを秒数に変換します。つまり、3分21秒は201秒です。
201秒に10%(0.1)を掛けます。
201×0.1=20.1秒≒20秒
なので、野口さんのマラソンレースペースの90%は201秒に+20秒として、3分41秒が90%となります。
皆様もご自身の現在のマラソンレースペースに上記の計算で90%、95%、105%そして110%など出してみてください。
具体的に距離走だけピックアップしてみました。
・11週間前(84日前) 30km(3‘52/km)(85%)
・10週間前(75日前) 30km(3’45/km)(87%)
・9週間前 (69日前) 40km(3‘47/km)(83%)
・8週間前 (59日前) 30km(3’40/km)(90%)→ここで初めて90%
・7週間前 (56日前) 25km(3‘41/km)(90%)
・5週間前 (42日前) 30km(3‘43/km)(89~90%)
・5週間前 (39日前) 40km(3‘38/km)(92%)→40km走ではここで初めて90%超
・4週間前 (35日前) 30km(3‘38/km)(92%)
・4週間前 (32日前) 40km(3‘38/km)(92%)
・3週間前 (23日前) 40km(3‘41/km)(90%)
上記内容を見て分析すると、レースから3か月前の最初の1か月は85%ぐらいの強度で30km走を2回、40km走を1回実施。そして、徐々にペースを上げて90%のスピードで走れております。注目すべきところは、40km走で90%で走られたのは、5週間前(39日前)が初めてです。そして、95%を超えるペースがないことは非常に参考になる部分ではないでしょうか。
ここから考えるとレースペースでの30km走がなくても大丈夫だという安心感がでてこないでしょうか。
それぞれのタイムを90%で考えてみましょう。
サブ4(5’40’’/km)→6’14’’/km
サブ3.5(4’58’’/km)→5’28’’/km
サブ3(4’15’’/km)→4’40’’/km
サブエガ(4’01’’/km)→4’25’’/km
どうでしょうか。上記ペースで30kmから40km走と考えるとスピード面は大丈夫だけど、あとは脚筋力かな?といったイメージでしょうか。こういったところからもスピードよりも筋持久力がどれだけ大切かということも考えられるかと思います。
野口さんの距離走に関しては、一般性から特異性へ、つまり基礎的な練習から実戦的な練習へ徐々に移行されていることが分析できます。
【スピード練習】
次に野口さんのスピード練習を見ていきます。
野口さんのスピード練習は、①400m20本を10000mのレースペース、②1km10を10000mのレースペースで実施されております。つまり、10000mのレースに特化したような練習です。それはつまり、マラソンから見ると一般性の高い練習といえるかと思います。そしてスピード練習に関しても、一般性から特異性へと徐々に移行してきます。レースの4週間前からハーフマラソンに特化したような練習が入ってきます。
① 2km5本や②5km3本です。
ここで私が注目したところは、下記のとおりです。
・4週間前 (33日前) 2km×5本(6‘30’’)(マラソンレースペースの105%)
・3週間前 (28日前) 3km×5本 ペース未記載(おそらくハーフレースペース?)
・2週間前 (19日前) 5km×3本 ペース未記載(おそらくハーフレースペース?)
・2週間前 (16日前) 2km×5本(6‘40’’)(マラソンレースペースの100%)
マラソントレーニング3か月のうち、残り4週間のところで4回しかされておりません。それまでは、①400m20本を10000mのレースペース、②1km10を10000mのレースペースばかりです。
距離走とスピード練習の組み合わせがいかに大切かということが分かります。
我々市民ランナー目線から見ても、決して無茶な練習ではなくむしろその練習の前後軽めの練習にすれば、100%集中した状態といいますか、レースのように全集中して準備しなければならないような練習ではないと思います。
これは我々市民ランナーのように平日は、仕事で負荷をかけすぎることができない観点からも野口さんの練習は参考にしやすい部分かと思います。
【ペース走(テンポ走)】
最後にペース走(テンポ走)についてです。
まず私はテンポ走を非常に重要視しております。例えば、16kmテンポ走(マラソンレースペース100%)を毎週のように入れておりました。
しかし、以外にも野口さんは、①18000mを85%→90%(中強度→高強度)②16000mビルドアップ走(88-86-84-82)レースペース90%→100%のような練習をされておりました。
ここは単純に、野口さんのペース走はこれぐらいしかやらないのか。と驚きました。
私自身16kmをマラソンレースペースでやる練習は非常に高強度で、間に2~3日軽めの練習を入れて、かつ、かなりの集中状態じゃないとできません。私のように5000mのタイムに+1分半でマラソン5km通過していく人間からするとキツイ練習なのです。
野口さんのように①距離走と②10000mのレースに特異的なスピード練習そして、③ビルドアップ走でも十分上手くいくんだと非常に参考になりました。
【野口さんと私のトレーニング比較】
最後に私のマラソントレーニング(淀川マラソン)と野口さんのトレーニングを比較していきます。
私も野口さんのように、一般性から特異性へと徐々に移行していくスタイルです。
ただ、共通はしているのですが、私の場合は負荷が高すぎた練習が多々ありました。
例えば、距離走に関しては、完全に負荷が高すぎたと思います。野口さんのトレーニングを分析し比較すると明らかでした。
私の場合は、下記のとおりです。
私の当時のマラソンベストタイムは2時間33分です。
1km平均でいうと、3‘38’‘/kmペースです。90%は3’59‘’/kmです。
・11週間前30km(3‘56/km)(91%)
・9週間前32km(3‘53/km)(93%)
・8週間前32km(3’46/km)(95%)
・7週間前35km(3‘52/km)(93%)
・5週間前35km(3‘45/km)(96%)
・4週間前40km(3‘46/km)(96%)
・3週間前32km(3‘45/km)(96%)
・2週間前30km(3‘43/km)(98%)
1週間前に20kmを実施し、レースの週はなし。
野口さんと比較すると、まず40km走をやるタイミングや距離を増やしていく段階は間違ってなかったと思います。ただ、レースペースの90%超えてくるのが、11週間前からです。そして、95%を超えてくる距離走が非常に多いことが分かります。
今後の活かし方としては、ペースをもっと抑えて慎重に実施し、その分スピード練習に重点を置いてもいいのではと考えました。距離走の本数や距離の増やし方はこれでいいかなと考えます。
スピード練習に関していうと、以外に私も1000m10本(10000mレースペース)で実施しており、レースの5週間前に2km×5本を2分休息(110%)とかを実施し、練習内容だけ見ると野口さんと共通している部分はありました。しかし、一般性から特異性への移行を考えると野口さんの移行の方が徐々に移行しておりました。私の場合は、レース4週間前以降もファルトレクとかを入れておりましたので、一般性に偏りすぎたかなと思いました。ファルトレクの頻度を落として、ハーフマラソンに特異的なスピード練習をあと数回いれてもよかったなと考えます。
テンポ走に関しては、先ほど前述したとおりです。実際レースの9週間前から16kmテンポ走を毎週のように入れておりました。考えると徐々に10kmや12kmから徐々に距離を増やしていき、スピードをマラソンレースに合わせていけばそこまで疲労を残さずに練習をできたのではないかと考えました。
以上のように、私は野口みずきさんという一流ランナーの練習内容を分析し、自分の練習内容と比較し、これからのマラソントレーニングを計画する際のヒントをつかみました。
しかし・・・・・
実は私一人ではここまで明確に分析し比較することはできませんでした。
おそらく、自分の淀川マラソンまでの練習内容をもっとこなせるようになるために、負荷を上げようとしたりしていたかもしれません。
では、なぜこのような分析ができたのかというと、弊社ウェルビーイング株式会社 池上の講義「マラソントレーニング研究」を受講したからです。
先ほど野口さんの練習内容そして、私の練習内容は本講義内で分析し解説いただいた内容です。私は野口さんの練習内容の解説を聞くことで、上記のような分析と今後の練習内容のヒントを得ることができました。
是非、あなたにも最適なマラソントレーニングを組んでいただきいと思います。
野口みずきさんだけでなく、他の一流ランナーの成功した事例を学び、自身のトレーニングに活かしてマラソンの記録を超効率的に大幅に伸ばしていきたいと思われる方にお知らせです。現在、古今東西の成功したトップランナーから市民ランナー17人分の事例を、プロの分析と解説付きでお伝えする講義動画「マラソントレーニング研究」を、本日10月20日(月)までの期間限定で特別価格で販売しております。
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・自分に合った練習計画が立てられるようになりたい
・「サブ3の為の12週間のトレーニング計画」やガーミンの指示してくるトレーニングのような杓子定規で具体的で、何を根拠にしているのか分からない画一的なものではなく、様々な事例を参考にしながら本当に自分の生活習慣やこれまでの走歴やトレーニング歴や遺伝子に合う練習計画が立てられるようになりたい
の上記に当てはまるなら、絶対にこの先もお読みください。
この講義では、古今東西のトップランナーから市民ランナーの成功したトレーニングメニューを集めて公開し、その内容を分析して解説していきます。
これは「紹介」ではなく「分析」です。つまり、あなたが世界中の成功しているマラソンランナーのトレーニングメニューを「盗める」ように、めちゃくちゃ噛み砕いて解説するのがこの講義です。
まずはマラソントレーニングの基本から簡単におさらいし、生理学的要素も解説した上で、成功したランナーたちのトレーニングメニューを分析解説していくので、この講義を受講することで、あなたは文字通り、速い人たちのトレーニングを盗むことに成功します。
それも、ただ、猿真似して「あの人と同じことをやっているつもりなのに、なぜか自分はうまくいかない・・」と嘆くことはなく、こういうふうにして自分に取り入れていけば良いのかというところまできっと落とし込むことができます。
そんなマラソントレーニング研究の内容は以下のとおりです。
前半:理論パート
マラソントレーニングの基本
第一の生理学的要素 最大酸素摂取量の向上
第二の運動生理学的要素 筋持久力の向上
第三の生理学的要素 ランニングエコノミーの向上
第四の生理学的要素 有気的脂肪分解系の代謝速度の向上
一般性と特異性
超回復の原理
基礎構築期(土台作り)のトレーニング
基礎構築期(土台作り)以降のトレーニング
後半:実例パート
ロバート・ド・キャステラ選手のトレーニング
へパート・シュテファニー選手のトレーニング
コーチジョー・ヴィヒルのトレーニング
ポール・テルガト選手のトレーニング
中山竹通選手の調整法
宗猛選手のトレーニング
高岡寿成選手のトレーニング
榮井悠祐選手のトレーニング
上田正太選手のトレーニング
モー・ファラー選手のトレーニング
ムバラク・ハッサン・シャミ選手のトレーニング
野口みずき選手のトレーニング
コーチレナト・カノーヴァのトレーニング
フローレンス・キプラガト選手のトレーニング
リディア・チェロメイ選手のトレーニング
ソンドレ・ノルドスタッド・モエン選手のトレーニング
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ただ、その時すでに一日8時間のお仕事と、片道90分の通勤時間のある生活だったので、トレーニングには工夫が求められました。その中で大久保さんが行った取り組みには、いくつかの興味深い特徴がありました。その一例を挙げると・・・
・期分けは「基礎構築期」「鍛錬期」「調整期」の3つから成る
・基礎構築期から調整期まで基本的なトレーニングメニュー自体はほぼ変わらない
・常に共通している練習のやり方は「最初はゆっくり入って、後半上げていき、最後はしっかり上げる」
・トレーニングは基本的に全て「感覚」で
・距離走は30kmまでしかやっていない。その代わりレースが近づくにつれて後半のペースが変わっていく
このような特徴が挙げられます。これは、通勤と勤務で多忙な中でも継続的にハードなトレーニングを続けていくための、大久保さんなりの最適解だったのでしょう。
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