基礎構築期にゆっくりのペースでいいので、総走行距離を増やした方が良い理由
- 榮井悠祐

- 6 日前
- 読了時間: 16分
更新日:3 日前

突然ですが、あなたは次のマラソンレースに向けて走り始められていますか?
おそらくこの春の時期、ほとんどの方は基礎構築期といわれる土台作りの時期になるのではないでしょうか?
私がプロから学び、たった1年で3時間16分から2時間33分まで記録が劇的に向上した理由の一つは、この基礎構築期に「あること」に取り組んだからだと考えております。
私が取り組んだこと、基礎構築期の今こそやってほしいことを本日はお伝えさせていただきたいと思っております。
その私が取り組んだこととは・・・・・
「ゆっくりのペースでもいいから、総走行距離を積極的に増やしていった」ということです。
今回の記事は、マラソンが速くなりたいけど、基礎構築期って何をやったらいいの?何で総走行距離を増やした方が良いの?と知りたい方にとっては参考になる内容であると思いますのでこのまま是非読み続けてください。
逆に、月間100kmとか200kmでサブ3を目指すといったように、なるべく総走行距離を少ない中で、マラソンで結果を出そうと考えている人からすると、参考にならず時間の無駄になってしまいますので、ここで読むのをやめて、次のブログ記事を楽しみにしていただけたらと思います。
それでは参りましょう。
まず、この記事内でいう「ゆっくり」というペースは、主観的に楽な強度から楽でもないけどきつくもないペースのことをいいます。「低強度」から「中強度」という感覚です。
※低強度:主観的に楽なペース。最大心拍数の65%~75%ぐらいです。
※中強度:主観的に楽でもなくキツくもないペース。最大心拍数の80%前後ぐらいです。
※高強度:主観的にキツイペース。最大心拍数の85%以上ぐらいです。(参考)
1 総走行距離を増やすと回復力が向上する
最初にお伝えさせていただきたいことが、それは「総走行距離を増やすと回復力が向上する」ということです。
私自身が総走行距離を増やして感じたことは、明らかに回復力が上がったと感じることが多かったからです。
あなたは、ミトコンドリアというのを聞いたことがありますでしょうか。
このミトコンドリアが、マラソンが速くなるためには、非常に重要な役割りを果たしているんです。
人間というのは、生きていくうえで、自分でエネルギーを生み出さなければなりません。車のようにガソリンを外から注入すればいいわけでもありませんし、スマホやパソコンのように、コンセントから電気を送れば充電されるわけでもありません。
基本的に、人間というのは、酸素を使ってエネルギーを生み出しております。この酸素が血液を使って、細胞内にあるミトコンドリアまでいき、ミトコンドリアが酸素を使ってエネルギーを生み出しております。
実は、走っている時以外でも普通にこうやって私が今パソコンを打っている時も、酸素を使ってミトコンドリアでエネルギーを生み出しております。
またトレーニングをするのに必要なエネルギーは、もちろん酸素を使ってミトコンドリアで生み出すんですが、実は、トレーニングで疲れて回復するのにも、同じようにエネルギーが必要だということをプロから教わりました。私は回復するのにエネルギーが同じように必要だなんて考えたこともなかったのでびっくりしました。というか感動してしまいました。
なのでトレーニングをするのにも、そこから回復するのにもエネルギーが必要なんです。つまり、エネルギーを生み出すミトコンドリアがとても重要な役割りであること分かっていただけましたでしょうか?
そこでゆっくりのペースでもいいので走っていると、ミトコンドリアの数が増え、体内で生み出せるエネルギー量というのが増えていくんですね。
またミトコンドリアというのは酸素を使ってエネルギーを生み出しております。つまり酸素が必要なんです。その酸素をミトコンドリアまで送ってくれるのが血管なのです。
あなたも毛細血管というのを聞いたことがあるかと思いますが、本当に髪の毛ぐらい細い血管のことを言います。また、走っていると毛細血管の本数が増え、毛細血管密度が向上していくんです。
ゆっくりのペースでもいいので走っていると、ミトコンドリアの数が増えて、毛細血管密度も向上していくので、より全身のミトコンドリアに酸素を届けることができるので、それだけミトコンドリアでエネルギーを生み出すことができるようになります。
このミトコンドリアの数や毛細血管の数を増やそうと思うと、総走行距離というのを増やしていく必要があります。月間100kmの人よりも、200km、300km、400km・・・とやっぱり総走行距離が多いほうが、それだけミトコンドリアや毛細血管の数は増えていきます。
私がマラソンで2時間30分台で走った時は、この基礎構築期に、月間600kmまで増やしましたが、明らかにふくらはぎの毛細血管の数が増え密度が向上しているのが分かりました。一度、インスタか何かで福田穣選手のふくらはぎを見たことがありますが、感動するぐらい引き締まったふくらはぎに、毛細血管が浮き出ておりました。
月間600km走る前は、月間300kmいくかいかないかのレベルでしたが、300km走っていた時よりも、2倍疲れたかと言われると全然そんなことありませんでした。月間600kmというと毎日20kmが平均になりますが、回復力が上がったおかげで、300km走っていたときよりも体はむしろ楽でした。副次的効果といいますか、回復力が上がったおかげで、仕事の集中力も上がり、かなり仕事量をこなすレベルもあがったのを今でも記憶しております。
もちろん距離を増やそうと思えば、月間600kmでいうと、翌日には疲労がある程度回復して、また20kmぐらい走れるぐらいの強度でトレーニングを継続していく必要があります。どうしてもインターバルとか、全力で追い込むようなトレーニングを頻繁にしていると総走行距離を増やすことができません。次の日が完全休養や疲労回復のジョギングだけで、ある程度長い距離を走ることができないからです。
余談ですが、高橋尚子さんなんか現役時代は、90分ジョグが疲労回復とおっしゃっていたのを聞いたことがあります。
なので、今回のテーマでもお伝えさせていただいたように、この基礎構築期は、ゆっくりのペースで総走行距離を増やすことを目的として、走る量というのをできる限り増やしてほしいんです。
高い回復力をこの時期に身に付けることが何で必要なのか?
それは秋ごろから始める負荷の高いマラソン実戦練習を、何度もこなせるようになるためであり、そこからの回復力が高い方がトレーニング刺激に対して適応するからです。
2 マラソンに必要なエネルギー代謝機能が向上する
先ほど、人間は自分の体内でエネルギーを生み出す必要があるということを説明させていただきました。
人間というのは、エネルギーシステムが大きく分けて2つあります。それは、酸素を使ってエネルギーを生み出すシステム、そして酸素を使わずにエネルギーを生み出すシステムです。酸素を使ってエネルギーを生み出すというのは、まさに先ほどもでてきたものです。
酸素を使わずに生み出すエネルギーシステムというのは、これは非常用エネルギーなんです。全力で走ってゼーゼーハーハーいうような時に使っているのですが、酸素を使ってミトコンドリアでエネルギーを生み出していると間に合わないので、酸素を使わずにエネルギーを生み出すんですね。
マラソンを走っている時も、この酸素を使わずにエネルギーを生み出すシステムも厳密にはエリートランナーといわれるようなレベルになってくると使っているのですが、それでもメインは、酸素を使ってエネルギーを生み出すシステムでどれだけ走れるかです。
では酸素を使ってエネルギーを生み出すシステムについてもうちょっと詳しくみていくと、聞いたことがある方も多いかと思いますが、酸素と脂肪酸を使ってエネルギーを生み出すシステムと、酸素とグリコーゲン(炭水化物)を使ってエネルギーを生み出すシステムの2つに分けることができます。
この2つ何が違うのかというと、代謝の速度が違うのです。代謝の速度が速いのは、酸素とグリコーゲン(炭水化物)を使ってエネルギーを生み出すシステムの方です。ただ欠点としては、長持ちしないということです。
たとえば、ある人にとっては、キロ5分ぐらいのゆっくりのペースであれば、グリコーゲンをあまり使わずに脂肪酸を主に使って走れていても、徐々にペースを上げて4分30秒ぐらいになると、脂肪酸を使った代謝システムだとエネルギーを生み出すのが間に合わず、グリコーゲンを主に使ってエネルギーを生み出すようになるといったことです。
このエネルギーシステムが人によって異なるため、トレーニングをして酸素と脂肪酸でエネルギーを生み出すシステムの代謝速度を速めていく必要があるということです。
フルマラソンの競技では、この酸素と脂肪酸を使ってエネルギーを生み出すシステムをどれだけ速めていくことができるかが、非常に重要な要素となってきます。
グリコーゲンは体内におおよそ400グラム貯蔵されております。そして1グラムあたり4キロカロリーのエネルギーを生み出すことができます。つまり、グリコーゲンを使って、1600キロカロリーのエネルギーを生み出せるということです。
また60kgの人間が1キロ走るのに約60キロカロリーのエネルギーが必要と言われております。ということは、42km走ろうと思ったら、60kg×42km=2520キロカロリーのエネルギーが必要ということになります。こんな単純計算どおりにはいかないですが、グリコーゲンの1600キロカロリーだけだと、フルマラソン完走できないんですね。
そのため、できるだけグリコーゲンを使わずに、脂肪酸を使って走れるようにする必要があるということです。
要は、酸素と脂肪酸を使ってエネルギーを生み出せるシステムを改善し、代謝速度を速めていく必要があるということです。
この酸素と脂肪酸を使ったエネルギーシステムを改善しようと思ったら、やっぱりこれも総走行距離を増やすことが重要になってきます。
どういうことかといいますと、毎日ある程度、長い距離を走っていると、徐々にグリコーゲンが枯渇していきます。グリコーゲンの再合成が間に合わず、体内に貯蔵されているグリコーゲンが減ってくると、体内では酸素と脂肪酸を使ったエネルギーシステムに頼らなければならなくなります。
マラソントレーニングしている時は、脚がずっと重いという経験ないでしょうか?
また一番キツイのは、総走行距離を増やし始めた時です。まだまだ酸素と脂肪酸を使ったエネルギーシステムの代謝速度が遅いので、ペースが遅くてもグリコーゲンも一緒に使われ体内のグリコーゲンの貯蔵量が減った状態が続いているんだと思います。
私も最初月間600km目指して走り始めた時、ペースは5分30秒とかで、脚も重い感覚がずっと続いておりました。
しかし、これもトレーニングを継続していると、グリコーゲンが枯渇した状態で毎日毎日走っているので、酸素と脂肪酸を使ったエネルギーシステムの代謝速度が改善されていき、今までは5分30秒ペースとかでもグリコーゲンを使っていたのが、徐々にペースが上がってもあまりグリコーゲンを使わなくても済むようになってきているんだと思います。
これも繰り返しになりますが、ある程度長い距離を、毎日走り続けようと思うと、ペースはそこまで上げれないと思います。ゆっくりとしたペースでいいので走り続けることで、酸素と脂肪酸を使ってエネルギーを生み出すシステムというのは、改善されていきます。
このゆっくりとしたペースというのは当然、個人差があるため私から何分何秒ですということはできません。
あなたがこのペースであれば、今日走る距離または時間を、走り続けることができるという感覚で継続して走り続けることが重要です。
1か月、2か月と基礎構築期を続けていると、自分ではゆっくりのペースで同じ感覚で走っているつもりでも、徐々にペースが上がってくるのが分かります。
これこそまさにトレーニング効果であり、あなたの基礎レベル・基礎体力が上がってきているということです。
3 総走行距離を増やすと故障しにくい体になる
それでは次に、「総走行距離を増やすと故障しにくい体になる」ということをお伝えさせていただきます。
これは当然といえば、当然のことですが、総走行距離を増やしていくと、ランニングにより接地の衝撃が増えるので、筋肉、靭帯、腱、骨と負荷がかかり、接地の衝撃に強くなっていきます。
この基礎構築期という、総走行距離を増やせる時期に増やすことで、故障しにくい体を作ることができます。そうすることで、最終的にやりたい、インターバルトレーニングやテンポ走そして距離走と高強度トレーニングに身体が耐えられるようになっていきます。
逆にこの時期に故障しにくい体を作っておかないと、高強度トレーニングで故障するリスクも上がり、やりたい練習ができないといったことになってしまいます。
4 リラックスした走り方を手に入れることができるようになる
私はプロから走り方について、このようなことを教えてもらいました。
「私達の体は何度も何度も同じ動きを繰り返しているとその動作を楽に行おうとする習性があります。ということは、何度も何度も走ってある程度苦しい状況や脚が重い状況を体に経験させれば、自然と走り方は理に適ったものになっていくということです。」
「ある程度の量をある程度苦しかったり、脚が重くなった状態で走り続けることが、理に適った走り方を身に付ける一番の近道です。分かりやすい表現で言えば、理に適った走りとは楽に速く走れる走り方です。ということは、「苦しい」あるいは「苦しくはないんだけど全くもって楽ではない」という状況で、走り続けることです。」
自分にあった走技術を身に付けるには、総走行距離を増やし、毎日毎日ある程度、脚が重い状態で走っていると、人間は楽をしようとして、無駄な動きがなくなり、その人にとって一番楽なフォーム、つまり力みのない綺麗なフォームになり、最適なフォームを自然と身に付けられるということです。
これは元中日の落合監督も、プロの選手に2、3時間ずっと素振りをさせて、何も教えていないのに、力みがなくなりキレイなスイングに変わっていったとある著書に書かれておりました。野球経験者の私としては、非常に理解しやすく、記憶に残っておりました。
まさに陸上だろうが、野球だろうが、大切なのは無駄な力みがないこと、リラックスした楽なフォームが大切だということは共通しているということです。
5 実際私がしていた練習メニューとどれぐらいゆっくりのペースで走っていたのか?
まず市民ランナーとして走っている以上は、お仕事があり家庭や育児のこともあると思います。そうすると私生活の中で、走る時間というのを確保する必要があります。
私の場合は、平日はフルタイムの仕事で、土日は休みのいわゆる普通の公務員でした。(令和7年10月より転職)
子どもの保育園の送迎の準備や、家事があるので朝7時には帰宅する必要がありました。この基礎構築期のある時期は下記のような練習メニューでやっておりました。
月 オフ
火 20km低強度
水 16km低強度~中強度orファルトレク(スピード練習)
木 20km低強度
金 16km中強度(たまに高強度)
土 15km低強度
日 30km~35km低強度
※自宅~緑地までの2.5km往復をアップとダウンで5km
低強度・中強度・高強度の定義は、冒頭部分と一緒です。
ペースでいうと低強度走は毎回5’30’’/km~5’00’’/kmぐらいのペースでした。中強度走になってやっと4’30’’/kmとかです。
上記のように、私の練習例見ていただけると分かるかと思いますが、ほぼほぼ低強度走と中強度走です。
また心拍を基準にすると、最大心拍数の65%から80%の間の強度がほとんどなので、むしろ65%なんかだとゆっくりすぎる感覚になると思います。それでも、やっぱり距離をそれなりに走っていると足の重さもありますし、むちゃくちゃ楽というより、ペースを落とさず一定ペースで走り切ることに集中して走っておりました。
ここまで私の具体的な話ばかりでしたが、実際こんなに時間を取れないといった方も多いかと思います。別に月間600km走らないと意味がないとかそんなことはありません。
現在月間200kmの方であれば、まずはできるだけ毎日走れるように時間を作ってみてください。そして、週に2~3回、自分が長いなと思う距離または時間走ってみてください。
自分の中で走行距離をどうやったら増やせるのかというのを、自分のライフスタイルから逆算して練習計画を作っていただきたいと思います。その時に、ペースは低強度や中強度を中心にして、努力の方向性としては、ゆっくりのペースでもいいので、無理なく距離を増やしていけるように考えていただきたいと思います。
とにかくこの時期の目的というのは、総走行距離を増やして、秋・冬のマラソンの実戦練習をこなせるようになる為です。
6 まとめ
最後に、この基礎構築期は、ゆっくりのペースでも継続して走り続け、総走行距離を増やしていくことで、「回復力の向上」、「酸素と脂肪酸を使ってエネルギーを生み出すシステムの機能の向上」、「故障しにくい体」、「リラックスした走り方」といったことを身に付けることができるようになります。
これは目的ではなく、最終的に秋・冬のマラソンに向けて、やりたい練習をやるための土台作りだということを忘れないでください。
最終的には、インターバルトレーニング、テンポ走そして距離走と高負荷な実戦トレーニングをしていかないと、あなたにとっての最高の結果というのは出せないです。
そのためにはこの基礎構築期に土台をどれだけ作れるか、ということで一つの方法論として総走行距離を増やすことを挙げさせていただきました。私自身を人体実験して、経験したからこそ自信をもってお伝えすることができますし、実際自分の体の中で起こっていることを生理学的に説明できることからも、私個人にしか当てはまらないようなことではなく、再現性のある誰にでも当てはまることだと思います。
何度も言いますが、月間600km走らないといけないということではなく、あなたにとって総走行距離を増やすという努力の方向性を理解いただけると幸いです。
実際にこのような基礎構築期を過ごすことで、マラソンの為の実戦練習も故障せずにこなすことができ、たった1年で3時間16分から2時間33分まで記録を伸ばすことができました。
今回の記事があなたの参考になれば幸いです。
最後に、マラソンサブ3からサブ2.5を目指している方にお知らせです。本ブログにでてきた、私がアドバイスを受けたプロとは、弊社ウェルビーイング株式会社代表の池上秀志のことです。
現在私は、池上と弊社ウェルビーイング株式会社で一緒にお仕事させていただいておりますが、元顧客でもあります。
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