追い込まない練習で長距離走・マラソンが速くなる理由
- 榮井悠祐

- 4月16日
- 読了時間: 10分
突然ですが、あなたは長距離走・マラソンが速くなるには普段から全力で追い込むトレーニングをしないと速くならないと思っていませんか?
逆に追い込まないようなトレーニングばかりしていても速くならないと思っていませんか?
追い込むトレーニングをした後は、達成感や充実感を味わえ、速くなった感じになりますが、長距離走・マラソンが速くなるには実は、追い込まないトレーニングを継続、反復した方が効率よく速くなると言えるのです。
実は私自身、昨日の自分を超えなければ速くなれない。常に昨日の自分を超えるため追い込むトレーニングをしないと強くなれないと信じておりました。
しかし、人間の体はそのようにはできていないということが分かりました。
それは一体どういうことなのでしょうか。
まず長距離走・マラソンが速くなるための要素ってたくさんありますが、その中でも何が重要だと思いますか?
長距離走・マラソンが速くなるには、代謝系の改善と筋持久力の向上が非常に重要な要素となってきます。
「筋持久力」については、あまり説明もいらず理解しやすい言葉かなと思います。フルマラソンであれば、レースペースで42,195km走り切る筋持久力が必要となってきます。マラソンやっている人からすると短く感じるかもしれませんが、5000mや10000mにおいても筋持久力は求められます。
なぜなら、5000mというその速いペースで走り切る筋力が必要だからです。ペースが速くなればなるほど、接地の衝撃は大きくなるので、それに耐えるだけの筋持久力が必要になってくるのです。ペースが速くなれば接地の衝撃が大きくなるのはマラソンにおいても当然同じことが言えます。
問題は「代謝系の改善」という言葉ですね。私も最初は「代謝?改善?」でした。
まず人間というのは、無意識のうちに生きていくのに必要なエネルギーを自分の体内で代謝系(代謝システム)を使って生み出しております。もちろん走っているときも例外ではありません。パソコンやスマホのように、外部から電源を差してエネルギーを充電したりしているわけではありません。
人間は以下の4つの代謝系(代謝システム)を使ってエネルギーを生み出しております。
【有気的代謝】
・有気的脂肪分解系
→酸素と脂肪を使ってエネルギーを生み出している
・有気的解糖系
→酸素と糖質(炭水化物)を使ってエネルギーを生み出している
【無気的代謝】
・無気的解糖系
→糖質(炭水化物)を使ってエネルギーを生み出している
・クレアチンリン酸系
→クレアチンリン酸を使ってエネルギーを生み出している
酸素を使ってエネルギーを生み出しているのが有気的代謝、酸素を使わずにエネルギーを生み出しているのが無気的代謝です。
人間は基本的には、有気的代謝という通常エネルギーのみでエネルギーを生活しております。そして、有気的代謝だけでは賄いきれなくなると補助的に無気的代謝という非常用エネルギーを使い始めるようになります。
人間というのは、非常用エネルギーである無気的代謝を使うときは、緊急事態や不測の事態と捉え、いつもより体力やエネルギーをかなり消耗し身体に負担がかかってしまいます。
ランニングにおいても、無気的代謝を使ったトレーニングは身体にとっては負担なので、継続、反復することが難しいです。つまり逆の言い方をすると、有気的代謝のみで走れるペースでのトレーニングは継続、反復がしやすいということです。
継続、反復という言葉を使いましたが、長距離走・マラソンが速くなるためには、この継続、反復が非常に重要となってきます。
なぜなら、長距離走・マラソンが速くなるためには、トレーニングという刺激を継続・反復して体にかけ、適応反応を起こす必要があるからです。
通常エネルギーである有気的代謝のみで走れるペースでトレーニングをして、そのペースを上げていくこと、つまり、トレーニング刺激を継続、反復して体にかけ、代謝系の改善という適応反応を引き起こすということです。
人間の体というのは、継続、反復して何度も刺激をかけてあげる方が、適応反応を引き起こしやすいのです。
例えば、日本人であればお箸を誰でも使えるのは、お箸を使うという刺激を毎日かけることで、体はお箸を使えるように適応反応を起こしているわけです。外国人の方が、たまに日本に旅行にきてお箸を上手く使えないのは、お箸を使う刺激を普段からかけていないからです。
これは日本語を話すのにも同じことが言えます。日本語を話すという刺激を毎日かけることで、私たちは日本語を話せるように適応反応を起こしています。
長距離走・マラソンにおいても原理は全く同じで、トレーニング刺激を継続、反復して何度も体にかけてあげると適応反応を引き起こして、どんどん速くなっていくということです。
ここで注意しないといけないことが、刺激の強さも重要であるということです。トレーニング刺激というのは強すぎても弱すぎても体というのは適応反応を起こさないのです。何なら刺激が強すぎると不適応を引き起こすことがあります。
たとえば、仕事を9時から18時までフルタイムで働いる方が、仕事が終わって疲れていても一日寝ると翌日普通にお仕事にいけると思います。これが何か月も残業が深夜とかまで及んでしまうと仕事という刺激が強すぎて、体も回復せず、いずれ鬱になってしまったり慢性疲労になったりして、不適応という反応を引き起こしてしまいます。
トレーニングにおいても実は全く同じことが言えるのです。
例えば1km×5本のインターバルを疾走区間は全力で追い込むペースでやるとしましょう。これを毎日続けるところを想像してみてください。おそらくトレーニング刺激が強すぎて身体は回復せず、いずれ故障やオーバートレーニングという不適応を引き起こしてしまうことが想像できるかと思います。
そもそもそんなメニュー継続してできないと思いますが。真剣なランナー、強いランナーこそ気づかないうちに強い刺激をかけすぎて、故障や病気でもないのにトレーニングしているのに遅くなるという経験をされたことがあるかもしれません。
また逆にトレーニング刺激が弱すぎる例だと、サブ3ランナーの方が毎日キロ7分で3kmジョギングという刺激を体にかけても、トレーニング刺激に対して適応せず走力が向上しないことは想像できるかと思います。
ここまでの説明をまとめさせていただくと、長距離走・マラソンが速くなるためには、トレーニング刺激を継続、反復して、何度も体に刺激をかけ適応反応を引き起こす必要があり、さらにその刺激というのは強すぎても弱すぎてもいけないということです。
長距離走・マラソントレーニングにおいて、最も継続的に反復がしやすく、トレーニング効果が高い刺激の強さとは、無気的代謝を全く使わず、有気的代謝だけで走れる最も速いペースといえます。毎日走っても疲れない最も速いペース、翌日に疲労を残さない最も速いペースという言い方ができるかと思います。
無気的代謝という非常用エネルギーを使ってしまうと、エネルギーや体力をいつもより使ってしまい、体にとって負担が大きくかかってしまい継続、反復してトレーニングすることが難しいということは先述のとおりです。
だからといって、有気的代謝だけで走れるペースでサブ3ランナーが毎日キロ7分のジョギングしかしないトレーニングの刺激では、適応反応を引き起こさず走力も向上していかないので、有気的代謝のみで走れる最も速いペースを上限とするトレーニング刺激が最も効果が高いと言えます。
また、長距離走・マラソントレーニングにおいては、強度(走るペース)だけではなく、量(走る距離)という面からも考えていかなければなりません。
では量(距離)の考え方としては、毎日走っても疲れない、翌日に疲労を残さない継続、反復できる量(距離)なので、毎日あなたが走れる距離ということになります。
考え方の参考としては、月間走行距離が300kmの人だと、日数で割るとして一日10kmぐらいがだいたいの目安になるかと思います。
以上の内容をまとめると、無気的代謝を使わない最も速いペースで、毎日走れる距離の範囲内での追い込まないトレーニングだと、トレーニング刺激も強すぎず弱すぎず、継続、反復しやすいので適応反応を引き起こしやすいということができます。つまり、適応反応を引き起こしやすいということは、長距離走・マラソンが速くなりやすいということがです。
ここまで、追い込まない練習で長距離走・マラソンが速くなる理由を解説させていただきましたが、それではもっと具体的にどんな練習が追い込まない練習で、追い込む練習なのか参考に紹介していきたいと思います。
例えばハーフマラソンでいうと、①10kmをハーフマラソンのレースペースでやる練習と②10kmをハーフマラソンのレースペースより30秒遅いペースでやる練習を比較してみてください。
①10kmをハーフマラソンレースペースでやるようなトレーニングって追い込むトレーニングではないでしょうか。継続、反復してトレーニングすることはできないかと思います。
逆に②10kmをハーフマラソンのレースペースより30秒遅いペースでやる練習は、追い込まないトレーニングではないでしょうか?継続、反復してトレーニングしやすい強度だと思います。
もう一つぐらい例を出すと、①3km×4本をハーフマラソンのレースペースでやるような練習と②12kmをハーフマラソンのレースペースより40秒遅いペースでやる練習を比較してみてください。
①3km×4本は追い込むトレーニングで、②12kmの方は、追い込まないトレーニングになると思います。
10kmハーフマラソンのレースペースでやる練習や、3km×4本をハーフマラソンのレースペースでやる練習は、おそらく皆さん非常用エネルギーである無気的代謝を使っているペースになるので、追い込む練習であり、継続、反復は難しいので、トレーニング刺激に対して適応反応を引き起こすことは難しいと思います。
しかし、10kmハーフマラソンレースペース+30秒、12kmハーフマラソンレースペース+40秒ぐらいの練習だと、おそらく無気的代謝を使わない最も速いペースぐらいの刺激になってくるので、継続、反復もしやすいので、トレーニング刺激に対して適応反応を引き起こしやすいと言えます。
一見すると、追い込む練習の方が速くなりそうな気がするのですが、トレーニング刺激を継続、反復して何度も体に刺激をかけ適応反応を引き起こすことが、長距離走・マラソンが速くなるためには必要なことであると考えると、実は追い込まない練習の方が長距離走・マラソンが速くなるということが分かってくるかと思います。
今回の記事があなたの参考になれば幸いです。
最後に、長距離走・マラソンが速くなるということに興味をもち、もっと詳しく学んで、もっと記録を大きく伸ばしていきたいという方にお知らせです。
大阪マラソン日本人トップ(マラソン2時間13分、30㎞1時間31分、ハーフマラソン63分)で、過去5年間で数千人のランナーさんのお悩み解決、目標達成をサポートしてきた池上秀志の著書『マラソンサブ3からサブ2.5の為のトレーニング』(3000円の)の原稿データを、現在メルマガ登録いただいた方限定で、PDFファイルで無料でプレゼントさせて頂いております。
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