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オレゴンプロジェクトのトレーニング

アルベルト・サラザールの10のゴールデンルール


1. 継続的であれ

 長期間にわたって実施できるトレーニングプランを見つけよう。もし、週に4日トレーニングが出来るなら、週に7日トレーニングの90%の効果が得られる


2. 回復日を真剣に受け取るべし

 きつい練習の次の日は軽いジョギングやサイクリングのようなクロストレーニングが良いだろう。きつい練習の次の日にはリカバリーが大切で、例外はない。


3. 総走行距離は徐々に増やすべし

 総走行距離を1か月で10%以上増やすべきではない。どれだけ、自信があったとしても、徐々に増やすべきだ。それがやりすぎかどうかは、手遅れになった時に初めてわかることなのだから


4. オフロードを走るべし

 アスファルトは関節、靱帯、腱、筋肉にダメージを与える。芝生、ウッドチップ、土の道を走れば走るほど、ダメージは軽減される。私の選手は全体の練習の90%をオフロードで実施する。


5. より速く走れ

 練習でレースよりも速く走るのは難しいが、レースで速く走りたいのであれば、我々がスピードワークと呼んでいるより短い距離のインターバルをしないといけない。少なくともそれは速いペースでなければいけない。


6. 体全体を鍛えよ

 良いランナーは全身をくまなく鍛えている。上半身と下半身は連動している。腕立て、懸垂、腹筋、背筋(背筋も体幹であることを忘れてはいけない)を継続的にやり、上半身、体幹を鍛え続けるべきだ。マシンウェイトではなく、ピラティス、ロッククライミング、ヨガのような柔軟体操をやりなさい。


7. シューズ選びは適切に

 コンクリートのような固い路面を走りすぎることの次に多い故障の原因は、脚のプロネーションと不適切な靴を履くことだ。走れば走るほど、脚はサポートが必要になる。


8. フォームを完璧にすべし

 体の全ての動きが前方方向の力に変換されねばならない。もしも腕が体の正面以上に反対側に行ったり、ストライドが長すぎれば、力を失う。姿勢は常に真っすぐで、足は常に自分の真下につかれねばならない。


9. 疑念に打ち勝て

 必ずどこかでとても苦しく、自分の能力に疑問を抱きながらも前へと進まなければいけない時が来る。しかし、どんな時も前に進むべきだ。決して自分が弱いなどと考えてはいけない。


10. テクノロジーを受け入れよう

 自分のやっていることを正しく理解していなければ、どこかで故障を招いたり、良い結果が伴わなかったりする。今の時代はインターネット、GPS機能付き時計、ハートレートモニター、iPodなどなど、ここに合わせてコーチングしてくれたり、フィードバックを送ってくれるテクノロジーがたくさんある。私のガレージには反重力トレッドミルもある。使える知識や道具は使うべし。


アルベルト・サラザールグループの典型的な二週間のトレーニングプログラム(最後の6週間から7週間はより特異的)


1. 週に一回はスピードワーク。休養明けは登坂走になる。大切なのは徐々にペースをあげていくことだ。例えばゲーレン・ラップが8月の時点で25秒5平均でやりたいのなら、3月、4月は29秒くらいから始める。つなぎはいつも200mジョギング。スピードワークは各選手のニーズやレース戦術、レーススケジュールによって柔軟に変更される(400mの時もあるし、異なる距離をミックスする時もある)。

2. 週に一回。より長い距離のワークアウト。ロングインターバル(例6x1600m/400m, 8x1200m/400m)もしくは6マイルから8マイルのテンポラン。ここでも大切なのは、徐々にペースをあげていくこと。ゲーレンの場合、4分30秒から25秒からスタートした1マイルのインターバルは最終的には4分13秒から4分11秒あたりになる。個のインターバル10キロのレースペースよりも速いペースだが、多くのエリートランナーがやるよりも長いつなぎをとる。

3. 二週間に一回は中間のワークアウト。ほとんどの場合は、600mのインターバル、800mのインターバル(例800m8本)もしくは600mのブレークダウン(600,400,300,200)を3セットから4セット

4. 週に一回はロングラン。2週間に一回はハードなロングラン。モー・ファラーとゲーレン・ラップの場合、ハードなロングランのペースは1マイル5分30秒から5分ちょうどくらいになる。時期によって、変えていく。ロングランの距離は通常17マイルから20マイル。

 狙ったレース前の7週間から6週間がもっとも質の高いトレーニングサイクルとなり、この時期はほぼ毎週レースに出る。モーとゲーレンの通常のイージーランのペースは5:40-5:45/mile。期分けの仕方としては、年に二回の休養を一か月間取る。一回目の休養は2週間の完全休養と2週間のジョギング。その後に基礎トレーニング期があり、少し質の高い練習も入れる。狙ったレース前最後の8週間から6週間においては、本数が少なくなり、ペースは上がり、ワークアウトの最後に400mや80mのスプリントを入れることが多い。走る練習に加えてジムでの体幹トレーニングや筋トレも重要な練習の一つだ。



訳者注

 ここでロンドンオリンピック二週間前の標高1800mで行われた1000m6本という練習を見てみましょう。つなぎは500mジョギングでそれぞれを2分38秒、続いて400m3本を52秒で行ったそうです。モー・ファラーやゲーレン・ラップのレベルになるとレベルが高すぎて感覚がつかみにくいと思うのですが、おおよそ5000m自己ベストのレースペースに該当します。私のような一般人が1000m2分38秒と聞くと「おー、さすがゲーレン・ラップとモー・ファラー!この長めのつなぎと高負荷トレーニングが強さの秘訣か!」と思いがちなのですが、5000mの自己ベストということで考えると私の場合2分52秒ペースであり、5000m20分ちょうどの方にとっては4分ちょうどくらいの強度に該当します。ただ、標高が1800mと言うことは追記しておかねばなりません。


 更にレース6日前のワークアウトも見てみましょう。


600m3本を1分36秒

その後400mを61秒、

その後300mを44秒、

200mを27秒、

その後300mを37秒、

最後に400m一本を全力51秒


サラザールの300mインターバル

 アルベルト・サラザールのお気に入り(おすすめの)ワークアウトの一つは300m7本であり、これはマラソンシーズンであれ、トレックシーズンであれ、およそ2週間に1回用いられる。何故なら、他のワークアウトでは補えないトレーニング刺激をかけることができ(5000mや10000mよりもはるかに速いペース)、しかしながら、ワークアウトの負荷はそこまで高くないので、他の練習に悪影響を与えることがないからである。初めて300m7本のインターバルをやる人は往々にして速く走りすぎるので、一本目は抑えて徐々にペースを上げていき、最後の一本を全力、同様に各300mも最後の100mを最も速く走ることが重要だ。


ゲーレン・ラップのユーロワークアウト


ワークアウト:

(600-400-300-200)x3

目標タイム 1分27秒、58秒、42秒、26秒

レスト 1分15秒、1分、45秒

セット間 1分30秒


ロンドンマラソン前の典型的なモー・ファラーのトレーニング


月曜日

午前 10マイルリカバリーラン(1マイル6分ペース)

午後 6マイルリカバリーラン


火曜日

午前 4マイルウォームアップ、8マイルから12マイルのテンポラン(一マイル4分40秒から5分ちょうど、コースや標高に応じて変える)、3マイルクールダウン、筋トレ、コンディショニングトレーニング


午後6マイルリカバリー


水曜日

午前12マイルリカバリーラン マッサージ

午後5マイルリカバリー


木曜日

午前11マイルリカバリー

午後6マイルリカバリー


金曜日

午前4マイルウォームアップ、200m10本200mつなぎ(29秒)、登坂走200m(歩いて下る)4マイルクーリングダウン、

昼 筋トレ、コンディショニングトレーニング

午後4マイルイージー


土曜日

午前11マイルリカバリーラン、マッサージ

午後6マイルリカバリー


日曜日

22マイルから27マイルを1マイルあたりマラソンペース+1分(1マイル5分40秒ペース)


週間走行距離 126‐135マイル



Ciarán Ó Lionáirdのトレーニング


自己ベスト

1500 m: 3:34.46

1 Mile: 3:52.10

3000 m: 7:50.40

5000 m: 13:33


典型的なトレーニングスケジュール

月曜日 午前:30分ラン+2時間筋トレ+コンディショニングトレーニング(動きづくり、柔軟体操、動的ストレッチ)

    午後:40分ラン


火曜日 午前:2キロ3本(1マイル5分20秒で、一周ごと変化をつけて)

    午後:20分ラン


水曜日 月曜日と同じ練習


木曜日 午前:8マイルテンポ乳酸閾値の心拍数で

    午後:20分ラン


金曜日 ミディアムロングラン10マイル


土曜日 休養(ジムセッション、動きづくり、柔軟体操、動的ストレッチ、軽い筋トレ)


日曜日 90分間ロングラン、一対のペースあるいは起伏を使って


 具体的な5か月間のトレーニングスケジュールを表にまとめ添付したので、是非下のボタンよりダウンロードされたし。ほとんどの練習はゲーレン・ラップとモー・ファラーと一緒にやるが量はやや少なくする。




コメント


筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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